2005年12月28日

ロシアより愛をこめて

【 今日の記事 】

《  ロシアより愛をこめて  》

         2005/12/27   IT Management(米)


 インドがオフショア・アウトソーシングにおける注目を独占していますが、ロシアがここ数年、着実にその存在を拡大しており、アメリカのオフショア・ソフトウェア開発ビジネスの主要な委託先として急速に台頭してきています。


 アナリストは、ロシアが2007年の北米と西欧のオフショア開発総額の、5%を獲得するだろうと予測しています。


 「IT輸出におけるロシアの規模は、2004年にはほぼ5億ドルで、その後毎年25%を超える率で増加しています。」と、ガートナー・アナリストのスタン・リピーク氏は言います。


 アプリケーションの全領域の中でもカスタム・アプリケーション開発は、ロシアのITサービス市場において主要なサービス分野です。加えてロシアは研究開発やデザイン、組込みシステム開発、専門的なテスト、ソフトウェア・パッケージの統合や移行サービスの分野において、安心して委託できる先となっています。


 このような技術分野は、ロシア独特の強みがあり、高い水準にあります。それは以下のようなことに起因しています。エリートを育成する大学のシステム、高い技術を持つ豊富な労働力、大規模で複雑な技術的な問題を解決できる多くの分野にわたる専門家の存在、米国や西欧諸国と比べた労働コストの優位性、西欧や米国への地理的な近さ、そして西洋との文化的な近さなどです。


 以上のようなことは、ロシア・ソフトウェア開発及びITサービス企業貿易協会RUSSOFTによる最近の調査、「ITアウトソーシングの委託先:ロシア」で指摘されています。この報告書において、ロシアでオフショア・ソフトウェア開発を行っている250もの世界的な企業の例として、ボーイング、アルカテル、ロイター、ロンドン株式市場やシーメンスといった企業をあげています。


 なぜこのように多くの企業が、インドへの投資をし続けることよりもロシアへ引きつけられるのでしょうか?RUSSOFT会長のヴァレンチン・マカロフ氏は、このことはオフショア・アウトソーシング市場における委託の流れに、変化が生じている兆候であると見ています。


 最初は、(あのY2Kのバグによりもたらされた、出口のないようなパニックにより広まった)IT業務のオフショアへの大規模な移動でした。多くの企業は喜んで労力を投じるより、インド企業へ根気のいるコード・チェック作業を丸投げすることを選択しました。そしてこのことが、オフショアで簡単なソフトウェア開発作業を行わせるきっかけとなりました。そして今日では、より複雑なOracle、.NetやJavaプログラミングといった作業がオフショアへ移されていくようになりました。


 「我々はより安いプログラミングから、ビジネスの中心にかかわるより複雑なソリューションのアウトソーシングへと移行してきました。」と、マカロフ氏は言います。「高い教育水準や創造力といった、広く認知されたロシアの強みが、多くの新たな機会を開拓しているのです。」


 この傾向は、フォーチュン500社がロシアに開発センターを作っていることで明らかです。モトローラ、インテル、サン、IBM、ボーイング、デルやノーテルといった会社は、モスクワやサンクトペテルブルグといったところに大規模な開発センターを設立した企業のほんの一例です。


 たとえばデルはLUXOFTとの協力で、最近1500名以上の人員を持つ2つの開発センターを設立しました。そしてそのうち90%は大学卒で、また61%は科学技術の分野で修士以上の学位を得た者です。


 「いくつかのプロジェクトをLUXOFTのセンターに委託することにより、IT部門の時間やエネルギーに余裕ができ、現状と同等かそれ以上のペースでITのアウトプットを出し続けていくことができます。」と、デルの上級管理職のJ.R.カーター氏は言います。


 LUXOFTも、ボーイング、ドイツ銀行やIBMといったよりハイレベルのプログラミングや製品開発に取り組んでいます。そこでは、最新版のウィンドウズやリナックスベースのツールからメーンフレームまで、広範囲なプラットフォーム上での開発を行っています。


 ロシアに大きな開発センターを持つその他の企業は、エレクトロニクス製品の設計やエンジニアリング・サービスを行っているカリフォルニア・サンホセに拠点をおくケイデンス・デザイン・システムです。ケイデンスはロシアビジネスの拠点を設立するため、カリフォルニアのフォスター市に米国本社を持つロシア企業のミランティス社のサービスを利用しています。


 「ロシアには多くの主要な世界の技術企業の施設があり、エレクトロニクス製品設計の中心地になっています。」と、ケイデンス社会長のレイ・ビングハム氏は言います。「ロシアには非常に優秀なエレクトロニクスのデザイナーやエンジニアが多くいます。」


 RUSSOFTによると、ロシアは世界の科学者や技術者の数で、世界の主要都市中第三位です。またそのことが人材の宝庫として470万人の学生をかかえることができ(モスクワだけで60万人)、その50%は科学、数学やコンピュータ・サイエンスを専攻しています。


 これら学生は国際プログラミング・コンテストで、常に勝利を得ています。たとえば世界で最も有名な競技会である、計算機学会(ACM)国際大学対抗プログラミング・コンテストにおいて、ロシアは過去6回の大会で4つの金メダル、1つの銀メダル、そしてひとつの銅メダルを誇っています。


 「ロシアはソフトウェア技術者が優秀な能力を持っており、アメリカのハイテクに多大の関心を持っています。」と露米商工会議所のデボラ・パルミエリ会頭は述べました。「彼らは優れた論理性を持っており、アメリカのノウハウと組み合わせることで、相乗効果を得ることができます。」


 現在ではロシアはすでに、金融部門で信頼を得ています。上述のように、LUXOFTはドイツ銀行に向けてサービスを提供しています。またレクソフト社は欧州の銀行向けにトレーディング・システムを作り、ヴェステド・デベロップメント社は大規模な顧客向けの金融、投資システムを提供しました。


 最も有名なロシアのIT企業を聞かれたRUSSOFTのマカロフ氏は、LUXOFT、スター・ソフト開発、VDI、レクソフト、EPAMシステムやオリガといった名前をあげました。


【 今日のキモ 】

 ロシアのスキルレベルの高さは有名です。

 欧米でのオフショア開発熱や、自国の技術者不足を背景として、比較的高レベルのソフト開発業務の受託に力を入れています。

 これからも人材の層の厚さと、インドに比べた文化的感覚の近さで、欧米の仕事を得ていくでしょう。

 ただロシアも石油開発などを核とした空前の好景気に沸いており、コスト的な優位性は失われつつあります。

 ロシアは技術レベルの高さと、金融を中心にした開発実績や人材の層の厚みを武器に世界オフショアリング市場で存在感を高めて行くことでしょう。

 今後オフショアリングの状況を見る上で、インドや中国だけでなく、ロシアの状況を抜きに語れなくなることでしょう。

 
             有限会社アイジェイシー・トップページ


posted by Katsuhiko Doi at 08:46| Comment(0) | TrackBack(1) | 05年 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:


この記事へのトラックバック

HIRO
Excerpt: TB失礼します。
Weblog: クラブ好きなHIROの日記
Tracked: 2005-12-28 09:08
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。