《 インドのコールセンター業界は、新たな課題に取り組んでいます。 》
2005/12/31 Bangkok Post(タイ)
毎晩数千人のインドの若者が、ヘッドフォンをつけてアメリカやイギリスの顧客からの、いろいろな問題に答えるために、コンピュータの前に座っています。彼らは皆アメリカ、イギリスのアクセントで話し、欧米風の名前も持っています。現在この業界は、35万人近くの男女を雇用しています。この数は今後3年で、100万人にまで増えると言われています。しかし最近、この明るい業界は新たな挑戦に挑んでいます。
今月バンガロールで、ヒューレット・パッカードのオフショア業務を行っていた24歳の女性が、深夜に働く人のために送迎している運転手により暴行され、殺されました。
従業員の40%が女性であるような業界にとって、この事件は労働者や、とりわけ抗議の行進をした小規模なコールセンターの労働者に、大きなショックを与えました。
しかしこの産業の首脳は、広く男女平等への努力を行っている現状で、これを女性に対する暴力が増える一般的な傾向のひとつとみています。バンガロール警察は、この会社の「警備」体制を非難しました。
女性従業員への物理的人的安全は業界にとって大きな問題でなかったのに、コールセンターはデータのセキュリティには間違いなく関心を持っています。
2005年におきた一連の事件は、インドのコールセンターが扱う欧米の顧客の個人情報の保護に関する欠陥を露呈しました。
英国とオーストラリアのメディアにより、クレジット・カード情報などの外国の顧客の個人データが露出された、2つのケースが明らかになりました。
プネではコールセンターの従業員が、50万ドルにおよぶ不正行為をしたとして捕まっています。
このような事件は、顧客の個人情報がオフショアのコールセンターで危険にさらされているという、米国や英国内での反アウトソーシングのロビー活動によってその恐れを強調されただけに終わりました。
インド政府当局や業界では現在、データ・セキュリティの法律を強化しようと取り組んでいます。そしてコールセンターを開設しようとするものには、審査がなされるようになりました。
この業界を結束させていることは、ビジネス・プロセス・アウトソーシング、BPO産業に関するアウトソーシング産業での労働組合結成に対する要求です。
左翼的な人間による労働組合は、いかなる労働法にも合法的に免除されてきた、BPOやソフトウェア業界における労働組合の結成を許可するよう要求しています。
この要求は、この業界における搾取的な労働慣行が明らかとなったBPO業界における労働条件を調査して、さらに強いものとなってきました。
業界では、従業員を大事にしており、労働組合を組織する必要はないと言っています。BPOの従業員は基本的にグレー・カラーの「知識労働者」であり、古くからのブルーカラー労働力と同じではない、とインド・コールセンター協会は言っています。
また、この業界が与えている労働環境や保証は、最高クラスのものだ、とも言っています。
左翼主義者は生き残るため助けを求めていますが、中央政府はこの問題には態度を明確にしていません。左翼主義政党も、自身が政府を構成している西ベンガル州政府がこの動きに反対しているため、BPOにおける労働組合を許可するという、この要求に応えるつもりがないようです。
西ベンガル州政府は、外国のIT大手が州内に投資するように熱心に勧誘しています。
左翼組合の圧力により、この州ではBPO労働者が組合を結成することを認めました。しかしこの業界は必要不可欠なサービスを行っているとして、労働者がストをすることは禁止しています。
政治家や政策立案者は、教育を受けた多くの若者に外国との交流や雇用の機会を与え、ITやBPOセクターを促進するものとして、そのことには一致して同意しています。
彼ら政府もその成長のために、障害は排除したいのです。
今日では、インドのITやBPO産業は数十億ドルと見込まれ、すでに100万人近くを雇用しています。
インドは、世界のオフショアリング市場の50%を得る潜在力を持っています。輸出は2010年までに毎年25%伸びると見込まれています。
しかしインドのリーダーシップを持続させていくのは簡単なことではありません。」と、マッキンゼーのジャヤント・シンハ氏は言います。彼はそのために、3つのことが必要であると見ています。
第一に労働者のスキルや質を向上させていく必要があります。大学卒の10-15%、技術系の大学卒の中ではわずか25%しかオフショアITやBPO業界での雇用に適していません。
二番目に利益を求める圧力に対して、企業は新たなサービスを開拓し、開発していくことに加えて、継続的に業務改善に取り組んでいかなければなりません。
さらに都市機能のインフラ整備にも、早急に取り組まなければなりません。
ITやBPO産業の成長軌道は、社会的な関心やさらに大きな問題を引き起こします。
何人かの著名な科学者や社会学者は、BPOに従事する労働者、またソフトウェア技術者ある範囲は、ごみを取り除く作業にふける電子おたくと見ています。
社会学者も、アウトソーシングがその業界で雇用されている労働者の生活スタイルに影響してきていると見ています。夜まで続けて働くために、健康への関心が高まっています。
いくつかの業界では、IT部門に人が集まることでスキルを持った技術者や科学者が不足し始めています。
トップクラスのエンジニアリングやコンサルティング会社は最近、東南アジア諸国で建設技術者を雇っていると言っています。
知識経済国家になることを目指している国にとって、新年にゆっくりと考えるべき問題がいくつもあります。
【 今日のキモ 】
インドのコールセンター業界は成長著しいだけに、いくつか問題もかかえています。
データのセキュリティには、これまでインドへの批判の最大のものであったために、重点的に取り組んできており、すでにかなりの成果を見せています。
最近はそれに加えて、BPOの米国時間に合わせた、また男女平等の流れに対応した、特に女性労働者の深夜労働のセキュリティにも焦点があたってきています。
労働組合の問題は、ITが新産業のため労働組合の影響を受けなかったことも、その成長の一要因にあげられていました。
西ベンガル州は長い間ずっと(現在も)共産党政権ですが、それでも外資誘致に積極的で、企業優遇措置も充実しており、投資の点でも共産党政権ゆえの問題は全くありません。
急成長ゆえの労働力不足懸念への対応が、来年の主要なテーマになるでしょう。
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